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「本日は誠にご乗車ありがとうございます、次の駅は――」 窓の外は、見慣れない風景。 今まで住んでいた都会では、見たことない景色。 隣の車両に人影は見えたけれど、この車両には私以外…誰も乗ってない。 なんだか世界にたった一人取り残された気がして、寂しくなる。 不安が胸の中を、渦巻いている。 こんなふうに、ずっと一人でいるのは初めてのことだった。 でも…私はそれを自分で選んだ。 住み慣れた場所を離れて、新しい暮らしを受け入れることを。 期待を半分、不安を半分抱え、電車は目的地である終着駅のホームへと滑り込んでいく。 古ぼけた駅舎を見ながら、私は荷物を手に持ち、立ち上がる。 「……伽耶ちゃんかい?」 慌てて振り返ってみると、そこには人の良さそうなご老人。 私の方を見て、優しそうに笑っていた。 「ああ、やっぱり伽耶ちゃんだろう? 良く来てくれたのぉ」 「……おじいちゃん?」 「ああ、そうじゃよ」 頷いてみせる姿は、いかにも好々爺という姿。 良かった…本当に嬉しそうにしているのが、表情を見てわかりました。 私は来て良かったんだ…。 胸に温かい気持ちが浮かんできます。 「……ほら、こっちじゃよ」 悲しいけれど、もう寂しくないよ―天国にいる両親に祈ります。 これからは家事とかも頑張らなきゃ、そう思いながら眠りにつきました。 ―しかし、平穏な日々はそう長くは続きませんでした。 新しい人生を歩み始めた田舎で起こる、凌辱の日々 |